売り場が半分になっても売上を落とさなかった話
代表取締役 塩貝友崇 | 2026.10.10

今回は、店の広さが半分になったときの話です。売り場が狭くなれば、売上も下がる。多くの人がそう考えると思います。ですが、実際はそうとは限りません。2025年に手がけたルタオの大丸札幌店で、そのことを確かめました。

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区画の見直しで売り場が半分に

ルタオは小樽や千歳に大きな店を構える洋菓子店です。一方、札幌の都心では百貨店の中の小さな売り場で勝負しています。

大丸札幌店では、区画の見直しによって売り場の広さがそれまでの半分になりました。しかも区画の真ん中には建物の柱が立ち、店の奥まで見通せません。広さは半分、真ん中には柱。それでも売上は落としたくない。これがクライアントからの相談でした。

また、今後札幌に出展する際のフラグシップになるという想いも伺いました。ですので、ルタオブランドを表現しつつも、狭小店舗ならではの動線計画とオペレーションの効率化を考える必要がありました。

大丸札幌店のルタオ売り場の全景。中央に建物の柱が立つ
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広さと売上は比例しない

店は広ければ売れるわけではありません。広い売り場は商品をたくさん並べられる反面、お客様の目が散り、スタッフの目も届きにくくなります。売り場が小さければ、お客様とスタッフの距離は自然と近くなります。小さいことは、弱みではなく強みにもなる。そう考えました。

そのために決めたことは2つです。ひとつは、売りたい商品と定番の商品をはっきり並べ分けること。もうひとつは、お客様の動きとスタッフの動きを無駄なくそろえること。ルタオを運営するケイシイシイの担当者と一緒に、何度も案を練り直しました。

カウンターの上のディスプレイケース。素材と商品を並べて見せている
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邪魔な柱を店の顔にする

いちばん悩んだのは柱です。隠すか、生かすか。隠せば売り場はさらに狭く見えます。そこで、柱を店の顔にすることにしました。

柱は、小樽港に浮かぶ船の底をイメージした立体的なかたちで包みました。そこにデジタルサイネージを組み込んでいます。ルタオのふるさとである小樽の港の気配を、札幌の売り場に持ち込むためです。邪魔者だった柱が、シンボルとなり、目を集める場所になりました。

船の底をイメージしたかたちで包んだ柱と、その前に並ぶ商品
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半分の広さで前年比ほぼ100%を達成

2025年5月に開店。売上は前年と同じ水準を保ちました。広さが半分になったことを考えれば、簡単な結果ではありません。

ただ、これをデザインの手柄だとは思っていません。いちばんの力は、店に立つスタッフの努力です。デザインにできるのは、その努力がまっすぐお客様に届く売り場を用意することまでです。

ルタオの看板商品ドゥーブルフロマージュ
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小さな売り場で考えること

この仕事で確かめたことを、小さな売り場に悩む方に向けてまとめます。

  • 並べる数より、何を売りたいかを先に決める
  • 邪魔なものは隠す前に、生かせないかを考える
  • お客様の動きとスタッフの動きを同じ図の上で考える

ケイシイシイとは10年ほどお付き合いが続いています。ブランドを深く知っていたからこそ、半分になった売り場でもルタオらしさを見失わずにすみました。店の条件は、こちらの都合では選べません。条件が厳しいときほど、その店のことをよく知っている相手と一緒に考える。それがいちばんの近道だと考えています。