函館の石崎町、目の前に静かな浜辺が広がる場所に、建築家が手がけた一棟の建物が生まれました。オーナーの別荘であり、使わない日は宿として旅の人を迎える海辺のヴィラです。相談は、建物を手がけたMASSIVE SAPPOROの紹介で届きました。器はできあがり、あとは名前やロゴ、家具や備品といった、泊まる人が直接ふれる中身を整える段階でした。
全室の大きな窓からは、函館の街並みと恵山の稜線、そして青森へと続く海が見わたせます。これほどの景色と建築があるなら、中身がそれに見劣りしてはいけません。家具ひとつからサインひとつまで、海辺の建物にふさわしい品格でそろえる。泊まる人が北海道の魅力を丸ごと味わえる場所にすることを目指しました。
名前づくりでは、私たちからも提案を重ねました。最終的に選ばれたのは、オーナーが考えた「ATUY」です。アイヌの言葉で海を意味します。その名前をロゴにかたちづくり、建物のサイン計画までつなげました。家具や家電、備品もひとつずつ選び、海を眺めて過ごす時間が心地よく続くように整えています。
オーナーが過ごす日も旅の人が泊まる日も、ATUY ISHIZAKIは同じ海の景色で迎えます。窓の外に広がる海と、その名を掲げたサインや空間がひとつにつながっている。泊まった人の記憶には、この海の名前が一緒に残っていくはずです。