北海道の東、中標津町にはじめて本格的な讃岐うどんの店が生まれることになりました。店主は香川県で修業を積んだ人です。粉や出汁や食材はもちろん、打ちたて茹でたてを食べてほしいという強い思いを持っていました。そのこだわりが、厨房の中から客席までまっすぐ伝わる店が求められました。
空間の基調は、うどんの艶のある白にしました。カフェのような爽やかな白い空間に、和の器が並ぶ。そのずれが、かえって新鮮に映ります。さらに、規則正しいものと不規則なものを組み合わせれば、打ちたて茹でたての新鮮さを空間で表せると考えました。私たちは、店の味を伝えるのはことばだけでなく、空間そのものでもあると考えています。
同じかたちのアーチ状の壁を規則正しく並べ、客席をいくつかのまとまりに分けました。壁のあいだには大きさの違う窓を開け、かたちを一つずつ変えたベンチを置いています。カウンターの上には、同じ照明を不規則に吊るしました。入口は暖簾をくぐるとトンネルのようになっていて、飲み屋街の裏路地に店が並ぶ様子を写しています。建物の設計からグラフィックまでを手がけました。
店主のこだわりが、厨房から客席までまっすぐ伝わる店になりました。この店は、JCD北海道支部デザインアワード2016で特別賞をいただいています。中標津の町で、讃岐うどんが長く親しまれていくことを願っています。