Rainが、新しい商業施設にコーヒースタンドを開くことになりました。届けたいのは一杯のコーヒーと、自慢のパウンドケーキです。ですが、小さな区画にふたつを並べるだけでは、どちらの魅力も薄まってしまいかねません。コーヒーと焼き菓子のどちらも主役として輝く空間が必要でした。
そこで空間を、コーヒーのカウンターと焼き菓子のゾーンに分けて考えることにしました。カウンターはブランドの色で潔く見せ、焼き菓子のまわりには時を重ねた空気をまとわせる。性格の違うふたつが隣り合うと、互いの魅力がかえって際立ちます。全体には、昔からそこに在ったかのようなアンティークの匂いを漂わせることにしました。
紺色は、もともとRainのブランドカラーです。珈琲のカウンターには艶のある磁器タイルを張り、その紺を空間の中で再現しました。焼き菓子のゾーンは、アンティーク家具で組み立てています。サインはその雰囲気に寄せて真鍮で仕立て、傘のロゴを据えました。店の前面には透明なホルダーを置き、並ぶお客様から珈琲豆が見えるようにしています。
珈琲を受け取るまでの時間も、店の印象を左右します。カウンターをR形状にしたことで、買ったあとのお客様もゆとりを持って待てるようになりました。真鍮のサインは、時を重ねるほどに味わいを増していきます。いつか本当に昔からそこに在った店になっていく、その時間まで見据えたデザインです。